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翻訳ツールを語学学習に使う方法:逆翻訳など、効果のある6つのテクニック

語学の先生は生徒に翻訳ツールを使わないよう言うことが多いが、それでも使う学習者はたくさんいる。両者が思い浮かべているのは、たいてい別々の行為だ。一方では、段落を入力欄に貼り付け、出てきた結果をコピーし、どちらも読まない。もう一方では、自分で文を書き、翻訳を受け取り、二つを比べる。英語では主語を省略できないこと、ドイツ語では動詞が文末に来ることに、そこで気づく。前者の習慣が悪く言われるのは当然だ。後者は昔からある学習法で、そのための道具はここ数年でかなり良くなった。

この記事では後者を扱う。教室で行われたある統制実験では、教師が母語を意図的に使ったクラスの初心者のほうが、目標言語だけで教わった初心者より大きく伸びた。以下、翻訳ツールを学習に使う6つの方法を、それぞれの根拠となる研究とあわせて紹介する。

54人の学習者初級スペイン語の6クラス
+L1群スピーキングとライティングでより大きく伸びた
1990年シュミットが気づきの仮説を発表
日本語のフレーズを4つの角度で示す図:原文、ヘボン式ローマ字、英語の意味、そして決まり文句であることを説明するメモ。日本語のフレーズを4つの角度で示す図:原文、ヘボン式ローマ字、英語の意味、そして決まり文句であることを説明するメモ。
「よろしくお願いします」を文字、ローマ字、意味、使い方のメモで示した図(図は英語)。

「翻訳ツールを使うな」は悪い習慣への正しい忠告

この忠告は、実際にある習慣を問題にしている。会話の途中で手を止めてスマホに打ち込めば、会話の流れが途切れる。流暢に話すには、意識的に頑張らなくても単語が出てくる必要があるからだ。単語ごとに調べていると、言語ごとの作りの違いも見えにくくなる。日本語は丁寧さを動詞の形で表すので、完成した文を渡してくれるツールに頼ると、二つの言語がきれいに対応していると思い込んでしまう。そして、自分では書けなかった機械の文章を提出したなら、あなたが練習したのはコピー&ペーストだ。

こうした問題は、貼り付けてクリックするだけの使い方から生まれる。自分で書いてみた後に翻訳を読むのは、それとは別の行為だ。翻訳研究者のリン・ボウカーは、その背景にあるスキルを機械翻訳リテラシー(machine translation literacy)と呼び、あるインタビューで「ただ貼り付けてクリックするだけの人ではなく、この技術を理解したうえで批判的に使う人であること」と説明している。学習者にとっては、ツールの答えをそのまま受け取って先に進むのではなく、自分で比較することを意味する。

研究でわかったこと

教室での検証として最もよく知られているのが、Language Teaching Research誌に掲載されたde la FuenteとGoldenberg(2022)だ。研究者たちは大学の初級スペイン語コースの既存の6クラス(計54人)を、クラス単位で2つの条件にランダムに割り当てた。スペイン語だけで行う指導(-L1群)と、同じタスク中心のカリキュラムに英語の特定の使い方を組み込んだ指導(+L1群)だ。スピーキングとライティングは、1学期の最初と最後に標準化テストのSTAMP 4で測った。両グループとも伸び、+L1群は両方の技能で有意に大きく伸びた。参加者は全員初心者だった。

リチャード・シュミットの気づきの仮説(1990)は、学習者がインプットの特徴に意識的に気づいたときに初めて、それがインテイク(実際に取り込まれる言語)になると主張する。それ以前にシュミットはシルヴィア・フロタと共に自分のポルトガル語学習の日記研究を書き、自分の上達を、自分が言ったこととブラジル人が言ったことを比べた瞬間に結びつけた。彼はこれを「ギャップへの気づき」と呼んだ。メリル・スウェインのアウトプット仮説は、言語を産出しようとしてうまくいかないときに、そのギャップが見つかると付け加える。自分の試みと並べて翻訳を読めば、翻訳はあなたのギャップがどこにあるかを示してくれる。

翻訳に依存してしまうのが心配なら、バイリンガルの語処理研究は別の見方を示している。KrollとStewart(1994)が提案したモデルでは、初心者は新しい単語の意味に母語を経由してたどり着き、習熟度が上がるにつれて新しい単語と意味を直接結ぶつながりが強くなる。このモデルに従えば、最初のうち母語に頼るのは、学習者が通過する段階の一つだ。

教師たちは何年も前から教室で機械翻訳を試している。Niño(2008)は学生に機械翻訳の出力をポストエディットさせる練習を行った。GarcíaとPena(2011)は初心者に機械翻訳を使って書かせ、機械翻訳を使うと学生はより多く書け、ブラインド採点でも評価が高くなること、そして習熟度の最も低い学生ほど書ける量が大きく増えることを示した。Lee(2020)では、学生が母語で書いた自分の文章を機械翻訳なしで英語に訳し、その後、同じ原文の機械翻訳と照らし合わせて自分の英文を直した。この比較によって語彙・文法の誤りが減り、修正の質が上がった。どの研究でも、機械の出力は比較の相手として使われていた。最新の言語モデルがそもそもレジスターを扱える理由については、なぜLLMは翻訳が得意なのかで書いている。

その言語「から」ではなく「へ」訳す

たいていの人は、読む方向、つまり学んでいる言語から母語へ翻訳ツールを使う。これで鍛えられるのは理解力だ。話したり書いたりする力を伸ばすなら、自分の試みから始める。言いたい文を一つ選び、間違っていてもいいので目標言語で自分で書く。スウェインの言い方なら、この試みがギャップをあらわにする。それから機械を二度使う。まず自分の試みを母語に訳し戻し、読み手に何が伝わるかを確かめる。意図と違っていることもある。次に、言いたかったことを目標言語に訳し、その訳を自分の文の隣に並べる。二つの違いの一つひとつが、調べたり練習したりする材料になる。

来た道を送り返す

逆翻訳(リバーストランスレーションとも呼ばれる)とは、翻訳をもとの言語に訳し戻し、その結果を自分の意図と比べることだ。翻訳が言いたいことを言えているかを確かめるには、これが一番手っ取り早い。学習用の古典的な練習は時間を置いて行う。目標言語の文を自分のレベルか少し上のものから3〜6つ選び、母語に訳す。原文の言い回しを忘れることが前提なので、両方をしまっておく。1、2日後、原文を見ずに自分の訳を目標言語に訳し戻し、3つを比べる。原文、自分の理解、自分で作れた文だ。

逆翻訳法を2通りで示す図:意味が生き残る往復と、英語のイディオムが学習者の意図しないものになって帰ってくる往復。逆翻訳法を2通りで示す図:意味が生き残る往復と、英語のイディオムが学習者の意図しないものになって帰ってくる往復。
二つの往復。一つ目では意味が保たれ、二つ目ではイディオムが別の意味になって戻ってくる(図は英語)。

再構成した文が原文と一致したところは、その構造がもう身についている。ずれたところは、次の学習で取り組む材料になる。往復には一つ限界がある。行きと帰りが同じ誤った前提に立っていると、誤りは確認されたように見えて戻ってくる。だから、変わらずに戻ってきた翻訳は一つの証拠として扱い、次の節で扱う意味のメモと組み合わせて使う。それぞれのチェックが何を見つけ、何を見逃すかは、AI翻訳が本当に正しいか、どうやって確認するかで詳しく説明している。

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意味のメモを読む

翻訳は何が言われたかを教えてくれるが、その文がほかに何をしているかは教えてくれない。「よろしくお願いします」を英語に訳すと "I look forward to working with you" が返ってきて、逆翻訳もそれを裏付ける。往復からわからないのは、これが英語に直訳できる表現のない決まり文句で、誰かと一緒に仕事を始めるときや何かを頼むときに使うということだ。字義どおりには「よくしてください」に近く、使い方としては未来についての発言より "please" に近い。そうした場面でこれを省くと、冷たい印象を与えることがある。意味のメモが伝えるのは、こうした情報だ。ニュアンス、曖昧さ、レジスター、イディオム、文化的な選択、別の読み方などである。

シュミットの言葉で言えば、メモは何に気づくべきかを指し示す。意味のメモは活用を直したり格の誤りに印を付けたりはしないので、文法の添削としては使えない。言葉が何をしているかを説明するものだ。「ここでの普通形はカジュアルに読まれる。同僚にはよいが、取引先には危険」というメモがあれば、動詞の形に目が向く。その先は自分で考える。

ラベル付きのFinkインサイトパネル:意味に関するメモはフレーズがなぜそう言い回されたかを説明し、発音の行はヘボン式ローマ字を示し、逆翻訳は訳文を英語に戻して示す。ラベル付きのFinkインサイトパネル:意味に関するメモはフレーズがなぜそう言い回されたかを説明し、発音の行はヘボン式ローマ字を示し、逆翻訳は訳文を英語に戻して示す。
同じフレーズに付いた意味のメモ、ヘボン式の行、逆翻訳(図は英語)。

声に出す前に、まず読める形で

まだ読めない文字で書かれた言語を学んでいるなら、転写の行があるかどうかで、そのテキストを使えるかどうかが決まる。中国語、韓国語、タイ語、ヒンディー語、アラビア語を学ぶ人は、話し言葉なら紙の上で解読できるよりずっと多くを理解できることがよくあり、文字を見分けられるようになる何か月も前から単語の音を知っていたりする。インプットが役立つのは、それを処理できるときだ。研究では、十分な理解には既知語が95〜98%程度必要だとされている(Nation 2006、van Zeeland and Schmitt 2013)。音にできないテキストでは、それがほぼゼロになる。転写があれば、文字を学んでいる間もテキストを使える。

転写には名前のある標準を使い、教科書と一致させる。日本語なら長母音にマクロンを付けたヘボン式ローマ字、中国語なら声調記号付きの漢語拼音、韓国語ならRevised Romanization、ラテン文字の言語なら広式IPAだ。英語を学ぶなら、イギリス英語はRP、アメリカ英語はGeneral AmericanのIPAが一般的な基準になる。

間違え続ける単語のリストを作る

一番役に立つ単語リストは、自分の間違いから作られる。頻度リストは、大量のテキストの中でよく出てくる単語を記録したものだ。あなたが二度調べた単語は、あなた自身がつまずき続けている場所を記録していて、次の間違いについてより多くを教えてくれる。そのリストを単語カードアプリに移して計画的に復習すれば、どのカードも自分で書こうとした文から生まれた、間隔反復のデッキになる。

どれだけ丁寧にするかを自分で決める

講座ではレジスターを後回しにしがちだが、日常生活ではその間違いが早くから響く。ドイツ語にはduとSie、フランス語にはtuとvousがあり、日本語には普通形、です・ます形、敬語がある。選び間違えても会話が終わることはまずないが、相手は気づく。翻訳する前に丁寧さを決め、結果がその決定に合っているかを確認しよう。翻訳ツールに丁寧さの設定があれば、それを使う。なければ、依頼の中でレジスターを指定するか、動詞の形や代名詞を自分で確認する。

実際の使い方

週3回、1回20分で十分だ。自分が言いたい文を使う。まず目標言語で書き、翻訳ツールに通し、逆翻訳を読んで自分が何を言ったかを確かめる。次に、整えられた訳に付いた意味のメモを読み、転写を声に出して読む。驚いたことを書き留め、直す必要があった単語をリストに加える。翻訳する前に丁寧さを設定し、結果が合っているかを確認する。

私たちはこのループを軸に、翻訳ツールのFinkを作った。Finkは翻訳ごとに逆翻訳、意味のメモ、発音の行、用語集を表示し、丁寧・標準・カジュアルの設定がある。翻訳ツールはアカウントなしで試せる。有料プランは料金のページにある。

よくある質問

翻訳ツールを使うと依存してしまうのでは? バイリンガルの語処理研究は、多くの学習者についてその逆を示している。初心者は新しい単語に母語を経由してたどり着き、習熟度が上がるにつれてその回り道は短くなる。先に自分で書いてみれば、ツールはあなたの作業を置き換えるのではなく、チェックする役に回る。

逆翻訳はプロの翻訳者がやっていることと同じ? 同じ仕組みを別の目的で使っている。翻訳チームは、たとえば医療用の質問票を別の言語に移すときなどに、完成した訳文を確認するために逆翻訳を使う。あなたは自分の知識の穴を見つけるために使う。

初心者がそもそも翻訳ツールを使うべき? 紹介した二つの研究は、どちらも初心者を対象にしていた。スペイン語の研究は初級コースで行われ、機械翻訳を使ったライティングの研究では、習熟度の最も低い学生ほど書ける量が大きく増えた。自分の試みと翻訳を比べる練習は、学習を始めた最初の週からできる。

ラテン文字を使わない言語でも機能する? 機能する。そして転写の行が一番役立つのがそうした言語だ。ローマ字化があれば、中国語、韓国語、ヒンディー語を学ぶ人も、文字を並行して覚えながら、最初の週からここで紹介したすべてのテクニックを使える。英語を学ぶ人にはIPAが同じ役割を果たす。

出典とさらに読む

学期間の研究はde la Fuente and Goldenberg(2022)(Language Teaching Research 26(5))。気づきの枠組みはSchmidt(1990)(Applied Linguistics 11(2))であり、Richard Day編『Talking to Learn』収録のSchmidtとFrotaの1986年の日記研究に由来する。Swainのアウトプット仮説は、CookとSeidlhofer編『Principle and Practice in Applied Linguistics』(1995)の彼女の章にある。バイリンガル処理のモデルはKroll and Stewart(1994)(Journal of Memory and Language 33)。語彙の閾値はNation(2006)(Canadian Modern Language Review 63(1))とvan Zeeland and Schmitt(2013)(Applied Linguistics 34(4))。教室での機械翻訳研究はNiño(2008)、García and Pena(2011)、Lee(2020)で、いずれもComputer Assisted Language Learning誌。機械翻訳リテラシーはBowkerとBuitrago CiroのMachine Translation and Global Researchによる。上記の引用はBowkerへのインタビューから。